月村 正比古 回顧展
MASAHIKO TSUKIMURA retrospective exhibition

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・1967年23才 「ロマンの回復...」

 学問以前に、芸術以前になにかがありそうだ。きっとそうにちがいない。あわててはいけない。ギリシア人は決してあわてなかった。己をひっぱってゆくもの、これは学問をしても、芸術をやっても得られるものではない。
ロマン……あるいは一つの体験。このロマン・体験なくして何が学問であり、何が芸術だ。そんなものは真の学問ではないし、真の芸術でもない。もちろん真の人間でもあり得ない。あわてるな!ゆっくりと生活をしてゆけ!
恐らくベートーヴェンの内にも、ゲーテの心の内にも、ニーチェの全人格の内にも、一つのロマンが、ベートーヴェン自身をこえた、ゲーテ自身をのりこえた、ニーチェ自身ではどうにもならない一つのロマンが、体験を通して構成されたロマンがひそんでいて、彼等を創造活動にむかわしめたのだ。
死をのりこえたロマンへの躍進、それは不安に満ちた生であったにちがいない。
歓喜よ!ヘレナよ!超人よ!と彼等が絶叫した時、彼等は音楽に没入し、詩に没入した。己自身のロマンをはきだすために、不安からのがれ様と、ロマンの実現に努力しはじめた。

島崎さん、今僕は死よりも恐ろしいといわれているものに対決を迫られています。私はまようばかりです。質はことなるけれども、どちらにしろ私は悲劇を演じなければならなくなると思います。失われたロマンの回復………

※島崎さん=正比古の妻の旧姓。


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